組織の成果に責任を持つ者
マネジメントの神様ドラッガー氏が、【マネジメント】という本の中で、経営者とは「組織の成果に責任を持つ者」と定義付けていた。
日本では、ほとんどの会社が中小企業の為、オーナー=経営者、起業家=経営者と位置付ける人が多い。しかし、これらは必ずしもイコールではない。
もちろん筆頭株主でありながら経営者を行う人もいるが、プロの経営者として株主たちから経営を任される人も存在する。
また会社を起業して、一時経営を行うが、すぐに経営を誰かに託すという人もいる。
いずれにしても、株の有無や起業した経験などが経営者の必須条件ではない。
では、スポーツクラブではどうだろうか?
同じように、
- クラブを設立してクラブマネージャーを行っている人
- 代表者や発起人を別にいて、クラブマネージャーを任された人
- クラブマネージャーという資格は持っているけど、マネジメントを行っていない人
と言うように、様々な形が存在する。
しかし、まだまだこの「マネージャー」という役職の仕事を理解せずに引き受けている方も多い気がします。
日本のスポーツ界では、マネージャーというと部活の水くみだったり、洗濯をしてくれる女子部員をイメージされる人が多い。
そんな方には、是非「もしドラ」と言う本を読んで頂きたい。
我々マネージャーが行う事は、ただの雑用ではない。
会社の売上や利益はもちろん、株主の様な利害関係者の利益も考えなければいけないし、それ以外にも人事など人材のマネジメント、行っている事業の法務・財務など、役割は多岐にわたる。
しかし、多くの地域のスポーツクラブでは、このマネージャーがとても軽視されている。
まるでただの雑用係の様に扱われている。
これは、もちろんマネジメントを引き受けるマネージャー自身が、マネジメントの力や役割を理解してい事も原因であり、職人気質の多い日本では、管理する者よりも、現場の専門家が力を持つことが多いという理由もある。
専門家の多くは良いものを作りたがる。
日本の多くの職人気質の専門家は、良い商品を作ったら売れると思っている。
もちろん売れる商品の条件として、商品の魅力はあるだろうが、必ずしも良い商品を作ったら売れる訳ではない。
その証拠に、モノづくり世界一の日本の職人達が、次々に廃業の危機に迫られているのだ。
この様にどんなに良いモノを作っても、マネジメントが存在しないと、組織自体が無くなってしまう事があるのです。
彼ら専門家は、商品づくりや商品管理の専門家であり、組織全体のマネージャーではないことが多い。
マネジメントの神様ドラッガー氏は、企業の価値は顧客が決め、我々の仕事が何であるかは常にマネージャーは考え続けなければならないと話している。
つまり、顧客に価値を感じてもらい、必要としてもらうためには、クラブは何を求められていて、何をすべきなのか?を創造するのと同じく、顧客とコミュニケーションを図り、これらに向き合って考えて行かなければならない。
つまり経営者・マネージャーは、「組織の成果に責任を持つ」ために、顧客にとってのクラブの価値を創造し、その為に何をするべきかを常に考え続けなければならないのである。
しかし、ここでもやはりマネージャーは軽視されている事が多い。
この様に、顧客にとってのクラブの価値を創造し、どの様な戦略で動いていくかを意思決定するのがマネージャーの仕事にも関わらず、オーナーや株主の鶴の一声でこれらがすべて変更されることがある。
つまりマネジメントをはっきりと託されていないのである。
ということは、マネージャーを依頼する側も、このマネジメントと言う仕事に理解をしていないことが多い。
とくに小さな組織になると、マネジメントだけしている人が何もしていない様に見えることがあるが、けしてそうではない。
組織の成果に責任を持つという事は、多くの心労もある事だろうし、組織が小さいという事は、今後大きくするために、より大きなビジョンの中で、一つ一つの事業の企画や中長期的な計画を立てなければならないのである。
この様に、日本のスポーツクラブにおいてのマネージャーは、その立場や役割が明確になっておらず、軽視されることが多いのが問題である。
その為、助成金が無くなった後の運営や、自ら事業をして稼いでいくという動きがあまり見えないのである。
クラブが今後大きく成長していく、売上をあげていくという目標があるなら、その成果の責任を持つマネージャーが必須であり、あなたもクラブ経営を行っていくのであれば、オーナーや株主達に、このマネジメントの重要性を説明しなくてはならない。
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